正常な受精のため、ストレスは悪影響に、いい質の卵子と精子を

田村秀子婦人科 院長 田村秀子

 

正常な受精は、精子が子宮頚部を通って子宮体部に入り卵管の中に到達し、卵子を待ちます。卵巣の表面で一個の卵胞が破れて飛び出した卵子を卵管采がキャッチします(排卵)。すると卵子が卵管の微絨毛の働きによって運ばれ、卵胞膨大部と呼ばれる一番広い部分で精子と出会います。その時に精子が卵子を認識し、卵の中に入り込まなければいけません。これは琵琶湖の中のゴルフボールを捜すのと同じぐらい大変なことです。活性化された精子の頭の部分(先体)から蛋白融解酵素が放出され、卵子を覆っている透明帯の一部が融解し精子が入りこみます。同時に卵子の周りにバリアができ、他の精子が侵入できなくなります。卵の中で精子と卵子の核が融合して受精卵になります。

受精にはタイミングがあります。排卵された卵子は二十四時間、精子は七十二時間体内で生きていると言われていますから、約三日以内に出会えば受精が可能です。

受精後、受精卵は分割を繰り返しながら移動、三〜五日後に子宮内部に到達し、子宮内膜に着床します。着床には受精卵の質も関係しています。

一般的に受精卵が悪いというのは、例えば料理と同じで、材料が悪ければ出来上がった物はどんなに上手に作っても味が悪い、つまり卵子と精子がいい状態でないと、いい受精卵ができないのです。卵の質の低下の要因は、年齢もある程度関与しますがそれよりも影響が大きいのは精神的なストレスでしょう。卵の質が悪ければ、子宮内膜も十分育たないし着床もしにくくなります。

一方、男性もストレスがあると、精子の運動率が下がり、数も少なくなったりします。環境ホルモンによるものなのかはっきりしませんが、十年前より精子数の平均が少なくなっています。不妊原因の5割弱は精子に問題があると言われています。

不妊の原因はさまざまですが、ストレスが各機能の働きを悪くすることが多いのです。結婚したら約七割には子供ができるのですから、男性も女性も精神的に自分を追い込まないで、もっと自身を持ち、気持ちを楽に生活することが大切です。