第四回 “通水”はなぜ必要なのでしょうか?

今回は“通水”についてとりあげました。もしかしたら皆さんにとって辛い検査や治療の一つかもしれません。少しでも“通水”についてわかっていただけたなら、うれしいです。

 

<本日の質問>

“通水”はなぜ必要なのでしょうか?

 

<回答>

“通水”とは、卵管の通過をみる検査とともに、卵管の通過や動きをよくすることもできる治療です。

卵管は、長さ10~13cm、直径0.5~1.2cmのとても細い管で、子宮の中とお腹の中をつないでいます。最も細い部分(峡部)は子宮に最も近い所にあり、最も太い部分(膨大部)は卵管の端にあります。

 

卵管の主な役割は、

1)卵子のピックアップ:卵管は本来卵巣の周囲を自由に動いて、排卵のときに卵巣からでてくる卵子をピックアップします。

2)受精の場所:卵管の一番端の最も太い部分(膨大部)で、卵管を通ってきた精子と卵子は受精します。

3)受精卵の分割と子宮内への輸送:受精卵は卵管の自力の動き(蠕動運動)により卵管を通過し、卵管内の分泌液から栄養を受けながら、分割をします。最終的には子宮の中まで運ばれ、胚盤胞(はいばんほう)という状態で子宮の内膜に着床します。

 

このように、卵管はとても重要な役割をはたしています。

写真1

 

この卵管の通過性を見るには、超音波や通常の内診ではわかりません。“子宮卵管造影検査(HSG:写真1)”や当院で行っている“通水”という方法で、子宮の中にカテーテルを挿入し、造影剤や生理食塩水を注入し、卵管の通過性をみます。HSGのレントゲン写真(写真1)をみると、卵管は糸のようにとても細いことがわかると思います。

 

 

このとても細い卵管が、もしさらに細くなって通りが悪くなったとしたら、またお腹の中で子宮や卵巣・腸管などに癒着しているとしたらどうでしょうか。

写真2:癒着のない正常な卵管(腹腔鏡)

 

写真2と3は腹腔鏡(ふくくうきょう)という手術で、お腹の中を見たときの状態です。写真2は癒着のない正常な状態、一方写真3は、左卵管の周りに癒着があり、通過不良になっています。このような状態では、おそらく卵管は正常に機能できず、卵子のピックアップがうまくできなかったり、受精卵の輸送がうまくできない可能性があります。

 

 

写真3:癒着があり、通過不良な左卵管

 

卵管の癒着の主な原因としては、

1)過去のクラミジア感染などの感染症 2)過去の手術(開腹手術や盲腸の手術など) 3)子宮内膜症・・・・などです。

 

 

 

もしも、通水の時に痛みが強いとしたら、それは卵管が細くなっていたり、卵管の周りに癒着の可能性があります。

何回か“通水”をすることにより、卵管は通過がよくなり、通水の度に揺り動かされて卵管の動きがよくなっていくでしょう。卵管の状態は皆さんそれぞれ違いますが、きっと何回か続けていくうちに痛みが軽減し、卵管の動きがよくなっていくと思いますよ。


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