米国インディアナ大学の研究チームから、“排卵期だけでなく、月経周期を通じた性行為(性交)が、妊娠に有利に働く”、という内容の研究が発表されました。
研究内容を説明する前に、妊娠と免疫の関係について、少し説明したいと思います。
体には、自分の細胞でないものが外から侵入してきたとき、それらを攻撃して、自己防衛する仕組みがあります。それを免疫(めんえき)といいます。
免疫の反応には、
免疫の司令官:Th1細胞とTh2細胞というヘルパ-T細胞
実行部隊:Th1とTh2細胞から分泌されるサイトカイン(インターロイキンやインターフェロンなど) が関わっています。
この2種類の免疫司令官はお互い仲が悪く、通常はバランス(Th1/Th2バランス)を保ち、免疫反応をコントロールしています。
Th1優位:細胞に直接ダメージを与え、体内の異物排除に働く細胞性免疫が強まります。
Th2優位:抗体や補体を介する液性免疫が強まります。
食生活や生活環境の変化などにより、Th1細胞とTh2細胞との力関係(Th1/Th2バランス)が崩れると、Th1優位で自己免疫疾患、Th2優位で花粉症などのアレルギー反応がおこります。
では、妊娠と免疫はどんな関係にあるのでしょうか?
妊娠は、排卵された卵子が精子と受精し、100%自分のものではなくなった受精卵が、卵管内で分割しながら子宮の中にたどり着き、子宮の内膜にもぐり込み着床して、初めて成立します。
異物である受精卵や胎児を拒絶せずに受け入れることができるのは、妊娠には免疫の微妙なシステム(妊娠の免疫寛容)が働いているからです。
このシステムがうまく働かなくなることは、着床や、その後の妊娠経過に影響し、不妊症や不育症のリスクになる可能性があると考えられています。