診察内容の解説(一般婦人科外来)

当院では女性の様々なお身体のお悩みや病気に対し、下記の診療を行っております。

内容をご確認の上、お問い合わせください。

一般婦人科外来

避妊用ピル

避妊を目的としたピルには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)と同じ成分が含まれており、服用することで妊娠時と同様のホルモンの状態を作ります。
脳から卵巣へのホルモン分泌が止まるので、卵胞が成熟せずに排卵も起こらないため避妊効果を発揮します。
また、子宮頸管から分泌される粘液量が増え 、精子の侵入を防止する効果も期待できます。

超低用量ピル(LEP製剤)

避妊用ピルと同じく、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を含む合剤ですが、卵胞ホルモンの量がより少なく、超低用量ピルは子宮内膜症や月経困難症の治療目的のために使われます。
服用することで排卵を抑制し、月経痛の軽減につながります。また、子宮頸管からの粘膜量の増加によって精子の侵入を防ぐ、子宮内膜が肥厚せずに着床に至らないという効果もあります。

子宮内膜症(性交痛・月経時疼痛)

子宮内膜症は、子宮内膜組織の一部が、子宮ではなく他の臓器にできてしまう疾患です。近年、患者数は増加し、20代から40代に多く見られます。
子宮内膜症になると、激しい月経痛に悩まされ、月経量の増加や腰痛などを生じることもあります。自覚症状のないことも多く、気がついたときには症状がかなり進行していることも少なくありません。
治療では、痛みが強い場合はNSAIDsを処方します。また、子宮内膜症は卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を抑えることで症状を抑えることができるため、ホルモン療法も同時に行われます。
ホルモン療法では、脳の下垂体に直接働きかけて卵胞ホルモンの分泌量を低下させるGnRHアゴニストやピルの服用によって排卵自体を止める方法があります。

月経のお悩み(月経不順・月経困難・月経痛・月経過多)

月経は個人差がありますが、月経が始まってから次の開始までの期間はおおよそ25〜28日であり、これよりも多い又は少ない場合は月経不順とされています。
月経量については、正常範囲が20〜140gとされており、月経時にレバーの塊のようなものが出る、ナプキンを取り替えても1時間で交換しなければならないような場合は月経過多の可能性があります。
さらに、月経時に下腹部痛や頭痛、嘔吐が日常生活に影響を及ぼすほどひどい場合は月経困難症も考えられます。
月経困難症は、機能性(原発生)月経困難症と器質性(続発性)月経困難症に分けることができ、大半は、血液を体外へ排出するときに活躍するプロスタグランジンが過剰に分泌されて子宮の収縮が強くなることで発生する、機能性月経困難症が占めています。
治療としては、器質性月経困難症の場合は原因となっている疾患を治療することで改善の兆しが見られます。
機能性月経困難症の場合は、NSAIDsによって痛みを緩和させる方法やピルの服用によって子宮内膜の肥厚を防ぎ、出血量を減少させる方法が選択されます。

感染症(クラミジア・トリコモナス・カンジダ・HPV・コンジローマ・ヘルペス)

クラミジアはかかる可能性も高く、とても身近な性感染症です。クラミジア・トラコマチスという細菌が原因となって起こりますが、自覚症状がないことも多いのが特徴です。
しかし、放っておくと卵管や子宮頸管へ侵入して炎症を起こして、卵管炎や子宮頸管炎の原因となりますし、妊娠時に感染すると流産や早産を引き起こすこともあるので、抗生物質で治療を行います。
尖圭コンジローマは、HPVというウイルスによって性器や肛門周辺にイボが発生する疾患です。潜伏期間が長く、知らないうちにパートナーへ感染させてしまうことも少なくありません。
自覚症状のないことも多いのですが、痛みや痒みを感じることもあります。治療としては患部にウイルスの増殖を抑える薬を塗る場合とイボを切除する外科的治療が選択されます。
ヘルペスは、ヘルペスウイルスによって引き起こされ、性器やお尻に水ぶくれができます。強い痛みや痒みを感じることもあり、場合によっては発熱することもあります。
治療としては、ウイルスの増殖を防ぐために抗ヘルペスウイルス薬を服用しながら、クリームや軟膏も使うことがあります。
妊婦がヘルペスに感染すると、出産時に産道感染して抵抗力の弱い新生児に感染することがあります。呼吸障害や脳症になる可能性もあるので、早めの治療や帝王切開を選択します。

卵管と卵巣における疾患(卵巣嚢腫・卵巣がん・チョコレート嚢胞・卵管炎)

卵巣にできた腫瘍は卵巣腫瘍と呼ばれ、そのうち卵巣嚢腫はそのほとんどが良性です。初期は自覚症状に乏しいのですが、腫瘍が大きくなると下腹部痛や腰痛を感じるようになります。
また、腫瘍が大きくなって卵巣の根元がねじれると激しい痛みを伴う茎捻転の状態になることもあります。卵巣腫瘍の中でも、チョコレート嚢腫は子宮内膜症の一つであり、子宮内膜の組織が変色してチョコレート色になることが由来です。
治療としては、腹部に小さな穴を開けて腹腔鏡を挿入して手術を行う腹腔鏡下手術で行うことが多く、侵襲性が低いのことが特徴です。
悪性腫瘍が卵巣にできた場合は卵巣がん、卵管にできた場合は卵管がんとなります。
症状に気が付いた時には腫瘍が大きくなり、進行していることもあるため、下腹部にしこりを感じるなど違和感がある場合は、早めに受診することをお勧めします。
治療はがんのステージや年齢などを考慮して決めていきます。手術を行ってがんを取り除き、その前後に薬物療法を行うこともあります。
卵巣炎や卵管炎は、卵巣や卵管がクラミジアや淋菌などによって感染することで炎症が引き起こされます。
多くが性感染症で起こりますが、軽症の場合は症状が出ないこともあります。しかし、卵管炎は卵管が癒着して詰まってしまうため、不妊の原因にもなり得ます。
治療としては、抗生物質等を服用しますが、症状が重い場合は手術を行うこともあります。

貧血・栄養トラブル

毎月、月経で排出する血液量は50〜150mlとも言われており、男性よりも女性は貧血になりやすいのが特徴です。
しかし、体内で鉄を作り出すことはできないため、食物から摂取する必要があります。鉄は、動物性食品に含まれているヘム鉄と、吸収率が低い植物性食品に含まれている非ヘム鉄があります。
ヘム鉄は、レバーやカツオに、非ヘム鉄は、ひじきや大豆製品などに多く含まれているので積極的に摂ることをお勧めします。
貧血がひどい場合は、造血剤として、硫化鉄やクエン酸第一鉄ナトリウムなどの鉄剤を服用することもあります。

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田村秀子 不妊治療・不妊専門 田村秀子婦人科医院